指名を受けるには?
指名競争入札で指名を受けるために欠かせない「入札参加資格審査申請」と「等級格付」、そして指名業者がどのように選ばれるかを解説します。
入札参加資格審査申請とは?
競争入札に参加するためには入札参加資格が必要となります。入札参加資格申請のあらましをご説明します。
申請はいつ?
入札参加資格申請の時期は、申請期間が設定されている場合と、随時受付をする場合に分かれます。申請期間が定められている場合、当該期間中に申請書類を提出しないと、入札参加資格は取得できません。
申請に必要な書類は?
入札参加資格申請で提出が求められる主な書類は下記の通りです(自治体により異なります)。
- 審査申請書
- 法人登記事項証明書
- 印鑑証明書
- 納税証明書
- 財務諸表類(貸借対照表、損益計算書)
- 経営事項審査結果通知書
- 営業所一覧表
- 工事経歴書
- 社会保険や雇用保険に加入していることを確認できる書類
- 主観的事項の評価に関係する届出書類
電子申請・電子入札が増えています
近年では、入札参加資格申請及び入札をインターネット上で処理する自治体が増えています。電子申請・電子入札を利用するためには、認証のため電子証明書が必要となる場合があります。
資格の有効期間と更新する方法
入札参加資格には有効期間があり、年単位で設定されます。2年が最も多く設定されています。有効期間の更新は、各自治体が設定した更新期限までに更新書類を提出し、審査を受けて更新が終わります。
資格の有効期間と、格付の有効期間が異なる自治体もあります。入札参加資格が2年有効、格付は毎年更新の場合、等級格付の申請書類は毎年提出する必要があります。審査結果の通知は、自治体ホームページに掲載される有資格者名簿により発表されたり、個別に結果通知書が送付されたりします。
等級格付とは?
格付は入札参加資格申請又は資格更新と同じタイミングで審査されます。格付の有効期間が資格の有効期間と異なる場合、格付のみ審査されることもあります。格付のあらましについてご説明します。
格付対象の工種
建設業許可の種類のうち、格付される工事種類は、主に土木一式工事、建築一式工事、舗装工事、とび・土工・コンクリート工事、電気工事、管工事、造園工事、水道施設工事などです。格付対象ではない工事種類の場合、入札参加資格の登録の有無のみの取り扱いとなります。
格付の仕組み
自治体は、等級の数や基準点数を定めます。各業者は点数を集計され、当てはまる等級に格付されます。上位等級には、点数基準に加えて、特定建設業許可の有無や、技術者数など要件が設けられている場合もあります。
格付に用いる点数とは
等級格付に利用される点数は、多くの自治体は客観点と主観点の合計としています。主観点を設けず、客観点のみで等級格付する自治体もあります。
- 客観点 経営事項審査の総合評定値(P点)など、全国一律の客観的な評価による点数。
- 主観点 自治体が独自に設ける評価項目に点数をつけ、各業者の主観点として集計します。一部の主観点審査は、申請書類の提出が求められる場合があります。
格付等級と発注基準
等級格付を実施している自治体は、等級に応じて契約できる発注金額も定めています。「発注基準」と呼ばれています。
(例)A等級:2,500万円以上/B等級:1,000万円以上4,000万円未満/C等級:1,000万円未満
※あくまでも基準ですので、該当する発注金額の範囲でしか受注できない、というわけではありません。
格付に用いる総合点数は、業者の規模に比例して高い点数となりがちです。各等級で発注基準を分けることで、競争入札を同じくらいの規模の業者で争ってもらう、という目的があります。指名競争入札では、発注金額に応じた等級から指名業者が選ばれます。自らが格付された等級と発注基準額を把握しておくことは、いくらくらいの工事で指名対象となるかの目安になります。
格付と主観点は地元優遇にも活用
主観点の付与対象を地元業者のみとする自治体も多くあります。市外業者、県外業者は客観点のみとなり、主観点の分だけ地元業者の点数が底上げされます。また、格付自体を地元業者のみ対象とする自治体もあります。この場合、競争入札の参加条件に「格付されていること」とすることで、自治体は地元業者に発注することができます。
指名競争入札で指名業者はどのように選ばれる?
指名競争入札において、自治体が指名業者を選定する仕組みについてご説明します。
選定審査会で選定業者を検討し決定
自治体の幹部職員により組織される委員会形式の指名業者選定審査会が開催され、選定案を審査します。発注金額により、審査会の対象とする案件を限定している自治体もあります。
選定で評価される事項は?
選定の際に検討される主な事項とその概要は下記の通りです。選定の方法や評価項目は、指名基準や選定基準という名称で、多くの自治体が公開しています。
- 工事成績 - 工事成績(評定点)が基準以上であること、優秀工事表彰の有無
- 技術的適性 - 施工実績や技術者数で、当該案件に必要な技術力・経験の有無を検討
- 公平性 - 同年度で、受注高・入札参加回数が少ない業者を評価
- 地理的条件 - 業者の所在地や当該地域での工事実績等から、発注工事の円滑な実施についての可否
- 手持ち工事の状況 - 手持ち工事の件数や従業員数から、施工体制の余裕の有無
- 安全管理の状況 - 安全管理及び労働災害防止の取組状況、労災発生の有無
- 労働福祉の状況 - 賃金不払いの有無や退職金共済制度の加入など、雇用・労働条件の整備状況
- 地域貢献 - 災害復旧対応や障害者雇用、子育て支援、ボランティア活動などの取組
- 不誠実な行為・欠格要件の有無 - 指名停止措置や下請業者との不適切な契約関係、暴力団との関係性の有無
- 経営状況の健全性 - 不渡りや銀行取引停止、自己破産申請や民事再生手続きの有無
基本的に、自治体はより多くの業者に参加してもらいたいと考えます。そのため、入札参加意欲が高そうな業者を指名できる評価項目になってくるとも言えます。評価項目は公表されていても、大半の自治体は具体的な選定過程を明らかにしておらず、どの評価項目が重視されたのかは外部では分かりません。透明性や公平性の問題がつきまとう指名競争入札で、業者選定の透明化は大きなテーマです。
等級の垣根を越えて指名されることもある
多くの自治体は等級と、それに対応する発注基準を定めていますが、指名業者選定が発注基準通りにガチガチに行われるわけではありません。自身の等級だけではなく、上位等級、下位等級の発注基準範囲の案件で選定候補になることができると明記している自治体があります。
等級の垣根を越えての指名は、地元業者や工事成績が優秀な業者を優遇するために定められることがあります。また、特殊な技術や重機が必要な案件で指名業者が限定される場合や、自治体の規模が小さく対象等級の地元業者だけでは数が埋まらない場合もあります。選定基準や発注基準は示されていても、自治体による選定の実態はある程度柔軟に検討が進められている、ということも念頭にお留め置きください。